2013年2月23日土曜日

不在


カーテンを焦がした。
電気ストーブを点けたら、そこに被さっていたようで、結構大きな穴があいてしまった。
穴があいたというより、溶けたみたいになってて、溶けた部分は、プラスチックみたいに固くなった。
ポリエステル製だったんだろうなと、溶かして気付いた。
・・・いや、溶かしたわけではないのだけど。

溶けた穴は、昔見たエイリアン系の映画の怪物の口みたいになってて(しかもクオリティ高い)
カーテン全体、窓全体が生き物のように見えてくる。

一歩間違えば火事になったかもしれないような事態で、のほほんとこんなことを考えている自分に
いかんなぁと、あまり危機感無く喝を入れながら、朝食のドーナッツを食べている。

昔からおっちょこちょいだったり、注意力散漫だったりする私は、しょっちゅうコップを割ったり物をなくしたりする。
おかげで、そういう突発的に起きたトラブルや物を無くしてしまうことに、驚かなくなった
良いんだか悪いんだか。


“不在”を意識することが、最近よくある。
特別に、大事な何かを無くしたわけではない。
大切にしていたピアスをなくしたり、手袋を片方なくしたりはしているけど、そんな事は日常茶飯事だ。
ただ、無くしたのではなく、気付いたら無くなったものがやっぱりあって。
“不在という存在”に出くわすことは山のようにあって。
そんな“不在”が事実として確立し始めていることに、衝動的焦燥感を感じたのだ。

穴のあいたカーテンが、穴によって新しい存在に見えてしまうみたいにして
私の生活にとって、その不在が、不在という確固たる地位を見出し始めてしまっている気がしたのだ。


この“不在”は“存在”であってはならない。
この“不在”は“不在”という不安定な地位でなくてはならない。
私は、その分別を常に意識していないといけないのだ。


そのためにも、とりあえず早く新しいカーテンを買いに行こう。
そうしたら、エイリアンはいなくなって、代わりに新しい外への入口ができる。

楽しみだな。